【第2章】4節 学業と寮生活と歌声の響(共鳴)

現状の看護師養成教育課程からは考えられ様もないが、その頃の看護婦(師)養成教育は、「学業と寮生活」が統合された形で教育展開されており、それはそういう一時代を経て、発展的な近代教育の今がある としか言いようがない。

寮生活の中にあって目覚めて始まる一日は、ピ~ンと張りつめた一環性の中に、計画的に規則正しく流れて行く。先輩の注視する、声、言葉、目線、仕草が、何かにつけ支配的であり(そのように思われ)、自由な雰囲気を得ることはなかったのではないかと思っている。

一般の大学生、短大生の教育課程とは異なり、教育カリキュラムは、医学・看護学分野の専門領域の教育課程が、ぎっしり詰まっていて、毎日の学びの忙しさは、結構ストレスフルであったけれど、深い学びの過程をたどるほどに、看護への興味は増してきました。

その変化の感じ方は、看護教育の力であると認識することはできました。私の場合、1年生後半になって、健康回復のきざしが出はじめ、クラスメイトたちとの呼吸がかみ合うようにもなって、大きな声で議論し合い、笑いあえるようになってきましたから、大きな進歩・成長ができたといえます。

今まで何かしら、このまま代わり映えしない閉鎖的な環境で3年間を過ごさないといけないのだろうか?こんな疑念に支配されていたようで、私は、世間に乗り遅れていくのではないかと体が強張っていましたね。パッと弾けるような解放感を渇望していました。

私の学年は、総勢12名。エネルギーとしての見た目は力不足の状態です。幸いなるかな!12名というのは、非常にコミュニケーションが取りやすい利点有りなわけです。良くも悪しくも12名は、学業は素直に学び、寮生活では、先輩の凝視点検の難儀を感じていたけれど、そこは結束力でサラッと受け流すという技を身に付け、3年を終えるまでは、ひたすら看護学校卒業⇒看護師国家試験合格に邁進するのみ。それを目標として頑張ってきたと言えるかな!?

大学・短大・専門学校の違いを知り尽くしながら、12名の仲間は、有耶無耶感をすっきりと再生させるべく自己表現を表出しあい、共有を図っていけたのではないかと思います。 謂わば私達、不揃いのリンゴ娘たちは、其々の個性を持って自分の立ち位置を自覚して共同、協同、協働を成し得ていけたのでは?と思います。さて2年生の後半に入った頃のこと、私は良き情報を耳にすることができました。1学年下の看護学生でピアノを弾ける学生がいると知り、何かピッと来るものがありました。さてどうしたものか…?!

彼女とは、寮舎内で会えば普通に話もし笑いあうという親しさもあったので、ある日、私は「指揮棒を振ったことは無いにしても、中学・高校では合唱部で練習を重ねてきた経験があり、その経験を頼りに期間限定で合唱部を作ってみたい。あなたが、ピアノを弾けると聞き、合唱部を結成できないだろうか?」と尋ねたところ、「良いですねえ。簡単な曲ならば弾けると思います。」との反応を得て、思い当たる3曲ほどを提案したところ、「ちょっと弾いてみて、弾けそうなら直ぐ返事します。」と。その後日、「トライしてみましょう!」との良き返事を受け、あれよあれよという間に、準備が整い、1年生、2年生を募集したところ、20名は集まりました。合唱部結成の喜びは大きく、不安ながらも挑戦してみることになりました。

計画の詳細は、練習曲3曲(モルダウの流れ、ゆりかご、夏の思い出)、練習期間は1年2か月(再来年3月までの18か月間)、この間、春休み・夏休み・冬休みを除けば約15か月弱、練習日程は毎朝7時15分~8時、目標は「3年生の卒業祝賀会で練習成果を披露してお祝いする」。こうして20名の賛同者を得て、期間限定の合唱部が発足できました。えらいこっちゃ!!です。

発声練習、パート別練習、全パート合わせ を組み合わせた練習を実施しましたが、やはり朝練は、実習前の時間利用という事ですから、学生にとっては少々厳しかろう?続くだろうか?との思いは杞憂に過ぎず、予想外な反応が得られたのです。

「朝の練習を終えて、実習場に行くのは気持ちよく、身体もすっきりする。」との好反応。毎朝10~15名は参加するという状況で、合唱曲の選定にも好感を持ってくださり、1年2か月間で3曲を仕上げることができたのです。その間、大きなトラブルには至らず練習は続行されたという事です。早朝の発声は、本当に気持ちよく美しく響くものです。学校にはピアノは無く、病院の講堂にありましたから、その広い場所をお借りして練習ができたのですから、ラッキーというよりほかなく、ありがたかったです。一部の患者様や、病院職員の方々から、「毎朝きれいな歌声が聞こえてきて、気持ちいいわ。上手に歌っているわね。」との感想を頂き、嬉しかったし、励みにもなりました。

そして3月中旬、3学年一同で開催するイベント「卒業生を送る祝賀会」に於いて、練習してきた合唱曲2曲を披露する時が来て、病院院長兼看護学院長、事務長、総婦長(現看護部長)、婦長(現師長)さん方と、3学年の看護学生が共に会合する場に於いて、私達合唱部員18名(だったかな?)は、晴れやかに、美しく、歌い切りました。

この経験は、「感動した」物語ではなく、看護学生の3年間の中で、看護学生の寮生活の窮屈さに閉塞感を持ち、如何に逃れようとしていたのか?単なる反発行動に陥ることなく、教務の先生方や病院の経営にあたる院長、事務長、看護部長の方々と、敵対ではないながら、しかし親しみからの距離感で交流が交わされる意識などありえず、むしろ遠い存在であったと思われるが、そんな面倒な意識解析はどうでもよく、垣根は解けて、グンと近づけていたのです。

凄い拍手喝さいを頂いたのは言うまでもありません。
アンコールの声もいただきました。あぁ~!気持ちよかった~!

私達の達成感・満足感は最高でした。その時の感激・感動が今も蘇ってきます。

 

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ノンちゃん

投稿者: ノンちゃん

大阪・住友病院で教育担当副部長を経まして、系列看護学校の副学長を歴任。その後、活躍の場を松下記念病院に移し、看護部長として就任いたしました。現在はワークステーションで登録スタッフの方の相談役として、様々なアドバイスを行なっております。長年の臨床経験・指導経験を元に得た知識を、皆さんにお伝えできればと思います。